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AlphaGo vs. イ・セドルの第四局の感想

第四局の72手目からAlphaGoが崩れ始めたのは以下の理由だと思う.

AlphaGoもモンテカルロ碁ベースでできているので,下記A),B)のいずれかの手が採択されるようになっていると考えられます.

  • A). 勝率から考えて有望そうな手
  • B). 詰碁や手筋のような正解となる手順は少ないが,正しく読みきれるなら有望な手

B).で実際に読み切るためには,

  • 普通は考えない手は無視して探索領域を狭められるか,
  • 手数が短い

のいづれかの条件を満たす必要があります.今回の第四局のキリは上記のA), B)いづれの条件も満たさなかったので見破れなかったのではないかと考えられます.つまり,

  • ほぼ盤面全体を見ないと解けない広範囲な探索領域から見つける必要があったので,B).で正解を得ることが難しかった.
  • 勝率から考えると正解は1パターンしか存在しないので,A)でコンピュータが考慮することはまずない.

それ以降,コンピュータが無茶な手を打ち始めたのは,
上記の72手目を読みきれず形勢が悪くなり,勝率を上げるための無理手で挽回しようとしたため,初級者のような手を乱発したのだと考えられます.

このように考えると,

  • 右側での助からない黒石が逃げていったのも,
  • 左下の割り込みも,

万一相手がミスってくれたら逆転できるため,つまり,ミスって勝利となる確率の方が通常の手を打って挽回するより逆転しやすいため(上記のA.に相当),ああいった手を打ってしまったのではないかと考えられます.

あと,第二局15手目のノゾキは,将棋でおなじみのフレーム問題が発生しているためなんじゃないかと考えられます.
15手目のノゾキはAlphaGoの権利といった手で,いつでも打つことができるので,
人間だとコウ材や局面の切り替えに使ったりするのが普通と考えられています.

じゃあ,結局いつ打つのかというのを,上記のA).やB).では解決できないので,
AlphaGoは不確定な要素をなるだけ除外するべく,十数手先の盤面の中では最も有望そうな手になるノゾきを打ったのではないかと思う.

そう考えると,コウが対局中現れづらいのもある程度納得いきますし.

今回の対局を見た限りでは,直感的に有望そうといった問題はコンピュータにお株を奪われていくかもしれないが,
直線的だけど深い読みが必要そうといった問題の解決には,まだ何かが必要そうな印象を受けました.

さておき,AlphaGoによって今後様々な定石が登場しそうで楽しみです.